本日の記録は、アプリやWEBでも読める 桃巴さんの 『31番目のお妃様 』です。
読むに至った経緯
もはやInstagramに、生活を支配されているかのような私。この漫画の存在も、Instagramに流れていた広告で知りました。
その後、eBookJapan で読めると知って、コミック版の無料部分のみを完読。1巻は第5話まで収録されているうち、無料で読めるのは、第5話前半までです。
チケット制で読むことができます。動画でチケットを稼ぎつつ、2日分もあれば、読み切れます。
当然、中途半端に終わるので、続きが気になります…読みたいけど、お金かけたくない…。
検索したら、「小説家になろう」で発見したので、コミックの続きを読みました。
今回の内容は、このふたつを読んだ感想です。
ざっくりと内容のご紹介
31番目のお妃候補の女性が、持ち前の行動力と、知恵と、人間力で、王様を虜にして、お妃様に選ばれるまでが描かれています。
一番面白いのは、彼女のセリフ
ステレオタイプのキャラ設定ではあるのですが、その生育環境ゆえに、なんでもできちゃう人。薬草を主産業とする辺境の地の領主の娘なので、戦闘能力も高いし、生活力もあるし、医療知識もあることが、ものすごく王様を助けることになるのですが、一番面白いのは、彼女のセリフ。
言葉一つで、他のお妃候補を滅多刺しにしていく様に、ほれぼれしました。『深夜のダメ恋図鑑』ばりの痛快さです。お妃候補についても、偶然がとかじゃなくて、ちゃんと自分で戦って勝ち取っていくから、好感度も高いです。
ひとつだけ、引用載せときます。
「ケイト、すごいわね。嘲笑いとヒソヒソ話も淑女教育の一つですの? ヒソヒソなのに聴こえる程度の大きさの声って、幼い頃から教育しないとできないわよね。それに、あの扇子。口元を隠しているのに、嘲笑いが見えるわ。あの目ってどのように教育してできるものなの?」
「教育しないとできない」っていう…。嘲笑いや中傷を受けていると理解していることをしらしめつつ、それがいかに恥ずべき振る舞いなのかを、一発でわからせてる。こういう切り返しを思いつけるってだけで、著者の桃巴さん、尊敬します。
こういうウィットに飛んだ発言が、私もしたいんだ。したいんだ〜〜〜。こういう頭の回路がほしいんだ〜〜〜。
もっと積極的なのください
内容的に残念なところは、王様とのイチャイチャシーンが、全然ないってことですね。全然…は語弊があるか。フェリアちゃんに恋愛経験がないから、反応がいちいちウブで、それをマクロン王が楽しんでいるわけですが、いやいや、もっと積極的に行ってよ、って思っちゃいました。
TLやらBLやらを読み慣れすぎているってことは…内密に…。
長い…。
「小説家になろう」で完結させたあと、書籍化(たぶん)。文庫版は現在6巻まで出ています。
「小説家になろう」で連載していた内容は、書籍詳細を読む限り、1〜2巻あたりで終了していて、3巻以降は、新しいエピソードで構成されているようです。
3巻の試し読みする限り「小説家になろう」にはないエピソードも、ちらちら加わっているので、コミカライズは、この文庫がベースなのでしょう。
ああ、フェリアちゃんのこ気味いい活躍が、あれやこれやと描かれているのでしょう。
お妃様試験が主軸の物語なので当然なのかもしれないけど、6巻にして、いまだ『お妃候補』=結婚していないんですよねぇ…。
もう、さっさとお妃様になって、ガンガン改革していけばいいのに〜〜〜。
この作品に限らず、小説家になろう系からのコミック版は、単行本化される前とか、1巻あたりでガンガン宣伝して読者を掴んでいるので、完結まで何年かかるやら…と気が遠くなります。
そもそも文庫版も完結していない今作は、エンドレスな気配です。
『メタモルフォーゼの縁側』じゃないけど、40代半の私にとっては、完結するまでこの物語を楽しみに待てる気がしない…。
「待て」が苦手な私としては、すでに完結している物語が好きでして、続刊系にはあまり手を出したくなく…追いかけるのはここまでにしようと思います。
Amazonレビューに物申す
文庫版の中身を知りたくて、Amazonレビューを読んでみたのだけど、文章力が低いという書き込みがめちゃめちゃ多くてびっくりしました。
そういう書き込みをしているのは、コミックの続きが気になって小説を読んだ人々。
文芸書とライトノベルは明確に違う
彼らはたぶん、一般的な、文芸書ジャンルの小説を読み慣れているか、あるいは年齢が、少なくとも30代以上か。ナチュラルボーンネット世代ではないんだろうと感じました。
文庫版の加筆を知らないのに言えた義理ないんですが、「小説家になろう」を読む限り、確かに短文で、さくさく進んでいくけど…その、さくさく進む感じがむしろ読む気にさせると思うんですよね。展開の速さは今時の必須条件と言えますし。
あれ、これって…、ドラマも早送りでみちゃう私だけ?
文芸書ジャンルの小説を読み慣れている人にしてみれば、確かに情緒はないかもしれません。今まで主流だった小説は、結論がどうっていうより、その過程を楽しむものですしね。文章から沸き立つような、五感に響く描写は、たしかにそう豊かとは言えないかも…。
でも、面白いんですよねぇ。つまり、ストーリーの本質を描くのが、すごくうまいんだと思います。
まあ、だからこそ、コミカライズ原作者向き、とレビューに書かれてたんだろうけど。
桃巴さんが下手、かどうかは私にはわかりませんが、ライトノベルですよ?もしかしたら、現在のライトノベルを読み慣れていない自分側の問題ってことはないでしょうか…?
え?お金払ってる?まぁ、それはそうなんですけどねぇ。
文章力とか言ってられないスピード感重視の世の中
というより、本当にヤバイんだとしても、それは著者自身というより、世間的な流れであって争いようがないと、私は思うんです。
今は、世に出て売れちゃったものを出版社が権利採りする流れだから、文章力とか騒いだところで無駄な抵抗というか…、私たち自身が、その大きな波に乗るか、降りるか(読まないか)しかないのではないでしょうか。
紙書籍は、出版している会社の担当編集さんや校正、校閲など、多くの人の目を通って、書店に並んでいます。著者に全任せではなく、編集者=出版社と一緒に作っていく。
なぜなら、紙書籍の出版て、先行投資をいかに回収するか、さらに重版につなげていくか、というビジネスモデルだからです。受注生産はほぼあり得ない。世に出す=絶対に売れる が成立していないと、だめなんですよね。だからこそ、出版社が責任持って育てるし、校閲や校正もきっちりやるんだと思います。
え?お金払ってる?
払ったお金は感謝のしるし
でも、コミック版を楽しんだわけです。コミカライズされるのを待てないくらい続きが気になって仕方なかったんですよね?
桃巴さんが、この作品を考え、「小説家になろう」で発表してくれたから、それを楽しんで読むファンたちの支持や応援があったら、コミカライズまでされて、皆さんの目にとまったんです。
支持と評価は別物かもしれないけど、そのままの桃巴さんを認めた人たちが大勢いたのは、事実です。
そこはむしろ、「生み出しくれてありがとう!」って感謝の気持ちを伝えられてよかった、でいいのではないでしょうか?
私的には、文庫化もされているのに、まだフルオープンで見られる状態にしてくれていることに、感動しているくらいです。どうもありがとうございます!