これから文通村をはじめようとしている方に、入ってみてから気づいたことの中でもとくに、知っておくと始めやすいだろうと思うことをまとめてみました。
その1:返事がくることを期待しない
もともこもないと感じるかも知れませんが、文通村を楽しく継続するために、一番重要な心掛けです。
やってみて初めてわかった盲点のひとつは、決まった相手から決まったタイミングで届くわけではないことでした。
まず、自分が手紙を出すことを掘り下げてみましょう。
文通村の発送日は月に2回です。一見ゆるく感じますが、1回に3通くらい毎回出そうとすると、実際はそんなにゆるくないと感じると思います。自分の生活の中に、今まで必要としていなかった時間を作り出さなければいけないので、リズムが整うまでは、案外翻弄されがちです。リズムが整う…といっても、文通相手が定着するという意味ではなく、自分の手紙を書くタイミングが決まってくるという感じです。しっかり書けば書くだけ、やりとりの相手が多ければ多いだけ、当然時間がかかります。関係性が深まれば、じっくり時間をかけて返したい内容のお手紙もあるでしょう。定期的にしっかり返事を出そうと思っていても、思いとはうらはらに出せないことは一度や二度ではありません。
…というのは、お相手も同じこと。日々の生活の中で、書けるときと書けないときは当然あります。相性が合わないと思われている場合もあります。相手からの返事がちゃんとくることを期待しすぎない方がいいです。返事は来ても来なくてもいい、と思っていないと文通村のシステムに振り回されてしまいます。そうなると楽しいものも楽しめません。
これは同時に、相手も自分も、返事を書いても書かなくてもいい、ということです。あなたも自分のペースを優先して返事を出して大丈夫です。
返事が来てこその「文通」ですが、ゼロから繋がりを作っていくので、この人!と思える人に出会うまで時間がかかると思っていた方がいいでしょう。
その2:相手に興味を持って話しかける
たとえば、私から「私はアイスクリームが好きなのですが、あなたの好きな食べ物はなんですか?」「先週温泉旅行に行ってきたのですが、旅行はお好きですか?」みたいなことを書いたとしますね。
そうすると「私の好きな食べ物は、お肉です」「旅行はよく行きます」としか書いてこない、みたいな。
これで私が「お肉というと…焼肉とかですか?私は100%ハンバーグが好きです」「最近行った旅行はどちらですか?私は久しく行ってないので温泉でも行きたいです」と返したとします。
すると「はい、焼肉行きますし、ハンバーグも好きです」「最近はとくに行ってないです」って返してくる。
私に一切、一切、一切、質問を返さない。文通のやり取りの中で一番大変だったパターンです。こういう会話の続かない人が、あくまでも私の場合ですが、半数以上はいらした気がします。「聞かれたことに答える」ことが文通のやりとりだと思っているのでしょう。でも回数を重ねていくと、ふと我にかえります。私を知ろうとしてくれない相手に、なぜこんなに頑張ってヨイショしてるんだろう?と…。
私がもし、最初の質問をされたら、「アイスクリームはどんなタイプが好きとかありますか?私はフルーツ系を選びがちです。あとソフトクリームにめがありません。お米系よりは麺類が好きです」とか。「温泉、いいですね!私は根っからのインドア派で泊まりの旅行はあまり行きません。○○さんは、旅行よく行かれるんですか?」くらいは返します。はあちゅうさんの書籍の影響もあって、質問を返すことも意識していました。
表情やしぐさが見えない特殊さはありますが、文通のやりとりは、実社会と同じです。これから仲良くなろうとしている人とカフェでお茶していると想像したら、そんな返事にならなくないですか?
とはいえ、責めることはできません。残念ながら話が合わない人はいます。仲を深めるのがしんどいと感じたら、キープと割り切るか、早々に離脱していいと思います。村人は常に流動していて、手紙がほしいご新規さんはたくさんいらっしゃいます。

返事をくれる人が見つかるまではキープしたくなります。正直…。空の封筒は切ないので…。
仮にあなたがこういう態度をとっているとしたら、どうぞ改めてください。絶対に相手といい関係は作れません。仲良くなれる可能性のある相手と出会えていたとしても続いていかないでしょう。まずは自分から相手に興味を持って、相手の話題を深掘りしてみてほしいです。
それで相手がのってくれれば楽しい文通が始まります。



私は2,3回続けてみて、返答の中身に変化がなかったら、「ごめんなさい」のお手紙を出していました。
その3:自分の話をする
「相手に興味をもつ」と表裏の関係なのが、こちらです。
自分の話をしてください。相手に質問を返してもらうためには、自分も同じくらい、いやそれ以上に自分を開示する必要があります。天気の話を書いたところで、ふたたび返事が届く頃にはすでに季節は巡っていることでしょう。会話になりそうな種は自分で蒔かなければ、芽が出ることはありません。自分の話をしないと、相手が私に興味をもつ機会もきっかけも生まれません。そもそもなんですが、相手のことがわからないうちは、自分のこと以外に話題がありません。書くしかないんです。
こちらの記事でも書きましたが、自分の話をすればするほど、本当に深く自分を知る機会になります。あなたが「自分を知る」ことに関心がなかったとしても、たぶん、書けば書くだけ、自分と向き合う機会になるんじゃないかと思います。想像ではありますが、自分と向き合えない人・自分の話をしない人は、相手に興味が持てない人だろうと思います。結果、たぶん、文通も楽しめないだろうと思います。
自分の話ばかりしすぎな「日記を送ってくる人がいる」という話も聞きましたので、あくまでも相手とやりとりしているってことはお忘れなく。リアルなお友達でも自分の話ばかりする人はちょっと…って思うことありますよね。双方の話題が半分づつ、もしくは相手が少し多いくらいがちょうどいいのではないかと思います。
自分と向き合うってどういうこと?って思っていますか?先ほどのソフトクリームを例にとってみましょう。



自分の好物を深く考える機会なんてそうそうありませんからね。
ソフトクリームには、食べた時に体が冷えるタイプと体に影響のないタイプがあると思っていて、一口目でまずそこを見極めます。それで冷えるタイプだと心が折れます。食べてみるまでわからないのがイタイところです。チョコレート自体は好きだけど、チョコレート味には興味がないので選びません。その他の味のときは、ミックスがあるとたいていそっちを選んでしまいます。カップに入ったアイスを機械にいれてソフトクリーム型にしぼるタイプのはソフトクリームと認めていないです。身近なところだと、ファーストキッチンのソフトクリームが一番で、マクドナルドのフロートも好きです。サンマルクカフェのパフェを食べてコーンフレークと一緒に食べる美味しさを知りました。混ぜて食べるのがおすすめです。
いかがでしょう?ここまで相手に伝えましょうってことではなくて、ソフトクリームと自分の話のどこを伝えようかなって考えることで、自分の好きなものがより具体的に表現できるようになっていきます、というお話です。



身近な友人にソフトクリームについて語る機会なんて、47歳にもなるとほぼありませんので、そういう意味では文通村ならではの体験です。
その4:手紙は自分から出すもの/待っているのは損
これもかなり盲点だったのですが、少なくとも私の場合、最初に受け取る風船便を除いて、お誘いをいただく=1通目を受け取る機会は全体の3割程度でした。7割は村人をひたすら検索して手紙を出しました。
手紙って、そうそう来ないんですよ。理由はカンタン。みんな待っているから。
私が手紙という誘いを待っているということは、相手も待っているんです。お見合い状態ですね、出会えません。事務局さんも呼びかけていましたが、私は積極的に手紙を書くようにしていました。1通も入っていない封筒を受け取る悲しさたるや…。返事を期待してはいけないとわかっていたって凹みます。そういうときは、なるべくふんばって、1通だけでも新しくお手紙を書きました。



切り替えるのはむずかしく、なぜ相手ができないのか…とか、引きずりながらでしたけど。
お試しは特に期間が短いですから、積極的に送った方が「文通村」というものをちゃんと楽しめます。文通村の体験は有料のサービスです。モト、とりたくないですか?待っているなんて損です。
その5:ペンネームは相手が書きやすく設定する
自分が名乗りたい名前より、書きやすい名前・相手から呼ばれたい名前をどうか考えてください。
多くの方と文通してみて気づいたことなんですが、文中で呼びかけるなど、相手の名前を書く機会は多く、自分の名前は最後の締めと住所くらいしか書きません。あなたの設定したペンネームを一番書くのは、お相手です。あなたではありません。そこのとことをよく理解して、名前を考えてください。
略しようがない長い名前とか、やたら難しい漢字の名前とか。複雑な英語表記も避けた方がいいんじゃないかなぁ…。書くのが面倒です。



漢字3文字で40画の人とか、書きたくないので、文中で呼びかけるのをどう回避するか毎回苦心していました。こういう小さな積み重ねも、実はお相手との関係を見直す小さな種になります。
頼むから書く側の手間を考えてください、お願いします。
私の場合は、特定されにくい(抽象度の高い)=簡単なものにしようと、ひらがな4文字にしていました。



にこるん、みたいな。
追伸:続かなくていい
文通村を始めるかどうかで、私が一番心配だったことを最後に付け加えておきます。それは「続けられるかどうか」でした。
続く、と一口に言っても、文通村では、2つの続くがあります。文通相手と続けていけるのか、と、そもそも文通村自体を続けられるのか、です。あなたの悩みがどちらであれ、そこは気にしなくてもいいと断言します。



会費が払えないなどの金銭的理由は、この限りではありません。
文通相手と続くかは、神のみぞ知る、です。あなたなりに誠意を尽くした上でいい感じにならなかったら、終わって大丈夫です。あなただけが誠意をつくしても続きません。責任は双方にあるわけで、あなた一人が背負うものではありません。現実の社会でも、続かない友人と、続く知人がいたりします。仲良くなれたと思ったって、突然終わることも少なくありません。
続かなかったら続かなかったで、新しい村人との出会いに動けばいいんです。喜多川泰さんの『手紙屋』じゃないですが、あなたが動かなければ出会えない人がきっといます。
一度始めた文通村をすぐにやめてしまうなんて…と入会をためらってしまう気持ちはよくわかります。ですが、続くか続かないかは、実際にやってみなければわかりません。誰でも楽しめるわけでもありませんし。
しっくりこなければ、やめても大丈夫です。もちろん、運営事務局さんは会社ですから、長く続けてくれることを願っていると思います。思いますが…そこはあなたの感覚を優先しましょう。
実際、プロフィールを読んでいると出戻りさんは多いです。私が辞める時も運営さんは、いつでも戻ってきてくださいと、あたたかいお言葉をくださいました。
私のように、やめてみてから、手紙を書くという行為や時間がどれほど自分の人生を豊かにしてくれいたかに気づくこともあるでしょう。
継続は力なり、は真実でしょうけれど、なんでもかんでも、自分の思いを無視してまで続ける必要はありませんし、やめてしまったら取り返しがつかないなんてこともありません、再入会すればいいだけです。



再入会のとき、名前を変えても変えなくても、再入会だと宣言しなくても平気です。
いろんな人がいます。お試しだけで終えていく人も多いです。ちなみに私は会費をまとめて年払いしていましたが、辞めたときは期間満了まで待ちませんでした。やめると心が決まっていたので、会費のもったいなさより、心の安定を優先しました。
気楽に始めて大丈夫です。
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